医療療養病棟

「急性期病院での治療が終了している」または「病態が安定しているが継続的な医療処理(酸素投与・痰吸引・床ずれ処置・人工透析など)が必要」な患者さんが入院され、治療よりも日常生活援助が主となる病棟です。患者さんひとり一人が日常生活に近い入院生活を送っていただくために、医師・看護師を始め関連職種が連携し、安心安全な日常生活の確保、退院支援を行っています。当病棟は長期にご入院される方が大半です。ゆっくりとした1日を過ごし、今後のことを一緒に患者さん・ご家族と考えることが出来ます。療養病棟が最後の生活であっても、退院までの1日1日を患者さんにとって満足できる環境を整え、安心・安全・心地よい毎日になるように努めてまいります。

医療療養病棟について

医療療養病棟の役割

当院は一貫した後方支援病院として地域にご利用していただいています。当院では他医療機関で各科の急性期治療を終えた患者さんの転院が多く、亜急性期から慢性期にわたる治療が中心です。
ケースによっては看取り期であることを承知でお引き受けします。治療は終わったものの家に帰るには困難、または慢性期であっても医療サービスが切り離せない、といった患者さんが中心となります。また、ご家族が在宅での介護困難(レスパイト)の入院も受け入れます。さらに当院には透析センターがあることから、透析患者の長期入院も3~4割程入院されています。

褥瘡サポート体制

褥瘡やスキンテア防止のため、病棟全体でニベアとワセリンを用いた患者のスキンケア(保湿・保清)にも注力しています。また、月1回の形成診(医師、Ns、リハビリ)を行い適宜褥瘡処置や発生防止に取り組んでいます。

摂食栄養サポート体制

全病棟を対象に認知症ケア加算を算定しています。認知症の高齢者が増える中、地域のニーズにも対応しています。摂食機能訓練についても力を入れており、最後まで口からおいしく食べたいという多くの患者さんにケア介入をしています。

主な対象患者

  • 肺炎・心疾患などの内科的治療や外科的治療後
  • 脳梗塞・脳出血などの脳血管疾患の後遺症
  • 骨折などの整形外科治療後
  • 特定難病疾病の療養目的
  • 慢性腎不全(維持透析)
  • レスパイト入院
  • 神経難病
  • 人工呼吸器が必要な方

退院支援

入院(情報収集・アセスメント)

医師、看護師、医療ソーシャルワーカー(リハビリ対象者であればリハビリスタッフも)が立ち合い、患者さん、ご家族についての情報を収集し共有します。情報をもとに各職種で各種書類を作成し家族の同意を得ます。

多職種カンファレンス

入院から間もなくして多職種でのカンファレンスを行い、ご家族の意向に沿えるよう退院についての方向性を決定します(週1回の定期開催)。

退院支援(懇談会・ケア会議

患者さんによっては、介護保険申請や区分変更、施設申し込み等を行っていただき、病棟スタッフとご家族で話し合いを行い、現状の把握、退院後の生活を確認する場を設けさせていただいています。ご自宅へ退院される方は、家屋調査・改修等を行い、安全に退院後の生活が送れるよう調整を図った後、退院となります。

医療療養病棟タイムスケジュール

時間患者さんの生活看護師の役割
6:00起床・検温検温・食事準備・トイレ誘導
7:30朝食・口腔ケア配膳・配薬・食事介助・下膳
8:50 日勤始業・申し送り
9:00 オムツ交換・入浴介助
10:00検温検温・処置・整容など
11:00集団リハビリ(食堂)休憩1時間(半数)・昼食準備
12:00昼食・口腔ケア配膳・配薬・食事介助、下膳
12:30 休憩1時間(半数)・環境整備
13:30 カンファレンス
15:00 オムツ交換・検温・処置
16:00 夜勤者へ申し送り
17:10 日勤終業
18:00夕食・口腔ケア配膳・配薬・下膳
19:00 休憩(交替で夕食)
20:00 検温・オムツ交換
21:00消灯配薬
3:00 オムツ交換

その他にも看護師の対応としては、2時間ごと体位交換・ナースコール対応・1時間ごとのラウンド・要注意患者は頻回の訪室、要観察・モニター管理者のナースステーションでの随時の観察・経管栄養・検査送迎・ケア会議・面会者の対応などがあります。

療養病棟ではレクレーションなど他ではないイベントを毎月企画し実施しています。レクレーション時の楽しい写真を面会時にお渡しし、とても好評です。当病棟は長期にご入院される方が大半です。ゆっくりとした1日を過ごしゆっくりと今後のことを一緒に患者・家族と考えることが出来ます。療養病棟が最後の生活であっても、退院までの1日1日を患者にとって満足できる環境を整え、安心・安全・心地よい毎日になるように努めてまいります。

療養病棟におけるリハビリテーション

当院では病床数120床に対して、リハビリスタッフ3名(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)を配置しており、約半数近くの患者さんにリハビリを提供しています。日常生活動作の維持・向上、退院支援、機能維持を提供しています。離床活動に注力しており日々の集団体操や季節ごとのレクリエーションなどを企画し質の高い病院生活を送れるように支援しています。

リハビリテーションの対象疾患と割合

リハビリテーション介入頻度の目安

医師の指示のもと、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によるリハビリテーションの提供をしています。介入頻度は疾患によって日数に上限が定められておりますが、週2~3日を目安に実施しています

個別リハビリ

退院支援を中心にリハビリ介入しています。退院支援に向けた患者さんの個々の評価を行い、動作訓練や可動域訓練、筋トレ、日常生活機能動作訓練等を行っています。また、ご自宅の家屋調査を入院中に行う事例もあります。長期入院の患者さんに対しても二次的合併症予防としてポジショニング(拘縮・褥瘡予防)、呼吸リハビリを行っています。

体操とレクリエーション

個別リハビリを行っていない患者さんも含め、集団体操やレクリエーションを行っています。活動性を維持するためにリハビリが無い日でも毎日昼食前に車椅子上で実施できる体操と口腔体操をホールで行っております。また、定期的にレクリエーション活動を行っています。これらにより、廃用症候群の予防や生活リズムの定着化、認知機能の賦活を促し、患者さんにより良い入院生活を送っていただけることを目的としています。
年齢を重ねると心身機能が低下し、運動に消極的になる方も多いですが、レクリエーションの参加から活動性の維持を図ります。

当院が考えるレクリエーションの目的

身体機能や脳機能の活性化

手先や言葉を使うことは脳の活性化に、適度に体を動かすことは身体の活性化に繋がります。特にレクリエーションは、普段使わない頭や手先を意識して使うと、楽しみながら身体機能や脳機能の向上を目指すことができると考えています。

コミュニケーションの促進

人と触れ合う機会がないと孤独を感じることや、さらに引きこもりやうつ状態になることも示されています。レクリエーションによって他者と交流することで、社会的活動の楽しさを再認し、生きがいを生み出すきっかけとなることも考えられます。

生活の質の向上

他者とのコミュニケーションや自身の身体機能の活性化は、生活に楽しみや生きがいをもたらしてくれるとされています。これらの相乗効果によって患者さんの感情も安定し、生活の質(Quality Of Life:QOL)が向上すると考えています。